「世帯研究所」はじめました
世帯を「最小のコミュニティ」として捉え、そのいまどきの課題を発見・発明・言語化し、 解決のアイデアを共創型で生み出していく研究所です。
広告会社・日宣による世帯研究プロジェクト
世帯研究所は、日宣という広告会社が運営する研究所です。
日宣は、「コミュニティ発想」というフィロソフィーを掲げています。生活者をマスでも個人でもなく「コミュニティ」として捉える発想をクリエイティビティの起点にして、さまざまなステークホルダーと価値を共創していくことを目指しています。
そして、コミュニティの中でも、特に自分たちのクライアントビジネスやメディアビジネスにおいて関わりの深いコミュニティが、「世帯」です。
ある意味、最小のコミュニティ単位、と言える「世帯」という存在にフォーカスを当て、そのインサイトを探索し、その課題を解決できるアイデアを世帯や有識者と共に発明~シェアしていこう、というプロジェクトが、日宣 世帯研究所です。
大きな変化にさらされている「世帯」という単位
「世帯」という言葉は、住居および生計を同じくする者の集まり、を意味します。つまり、「家族」よりももっと広義の概念です。世帯研究所は、いまの社会変化、環境変化のなかで、もっとも大きな影響を受けている単位として「世帯」という存在に着目をしています。
家族という概念が多様化し、血のつながりや性別、セクシュアリティでは、暮らしを共にする単位を規定できなくなった時代。「世帯」という概念には、さまざまな多様な暮らしの形を包含・許容できるキャパシティ、フレキシビリティがあります。
一方で、従来、「世帯」という概念は、「単身世帯」「夫婦のみの世帯」「親と未婚の子のみの世帯」…といったように、物理的・機能的な属性で分類や統計をされることが多く、「世帯」という単位自体を暮らしのインサイト発見の対象として見ていくような動きやマーケティングは、どちらかというと少なかったと言えます。
女性の社会活躍が進み、子供たちが新世代としての新しい価値観を持ち、高齢人口が増えていく…そんな社会において、「世帯」のなかには、いま、さまざまなモヤモヤやズレが生まれつつあります。それらは、これまでの「世帯」が経験したことのない、まだ言語化もされていない課題だったり悩みだったりします。これまでのように世帯を物理的に分類するだけでは、こうした課題や悩みを正しく把握・体系化することは困難です。これからは、新しい視点や分類から、もういちど「世帯」という存在を捉えなおしていくことが必要です。
私たち世帯研究所は、あえてこの「世帯」という単位・概念にこだわり、その視点から、新しい時代のインサイトやクリエイティビティや価値を生み出していくことにユニークネスをもつ研究プロジェクトでありたいと考えています。
「世帯」は、「コミュニティ」である
私たちは、「世帯」を「コミュニティ」のひとつ、として捉えています。
その観点は2つあります。
1つは、いま、そしてこれからの時代において、世帯で共に暮らす集合体には「コミュニティ」としての運営が求められている、ということです。
ひとつの屋根の下に暮らす家族や共同体のかたちが多様化し、多様性尊重という価値観の急速な広がりとともに、世帯そのものも「個人化」しつつあります。もはや、かつてのように、「とにかく家族なんだから」とか「いいから子供は言うこと聞きなさい」といった価値観では、世帯は運営できない時代です。互いを想う気持ちでつながりながらも、世帯は一人ひとりが異なる個人であり、多様性尊重という考えがどんどん世帯内にも浸食しています。世帯には、「小さなコミュニティ」として共存・共創していくための新しい運営方法やメソッド、アイデアが必要な時代です。
2つ目は、今後、ひとつひとつの世帯が地域コミュニティを形成する単位として、世帯同士で連帯・連携することがますます社会的に求められていく、ということです。高齢化、介護、防災といった社会的な課題やリスクが増大するなか、「単身世帯」はどんどん増えていきます。かつてのようなタイプの地域コミュニティが機能しにくくなっている時代環境のなかで、新しい形で、多様な世帯同士が協力・共創し、課題やリスクに対抗していくための仕組みやアイデアが必要とされています。
それらの観点から、私たちは「世帯」を「小さなコミュニティ」として捉え、その発想のなかから、新たなインサイト発見や、解決アイデアの発明とシェアに取り組んでいきたいと考えています。
さまざまな世帯や有識者の方々と共創する研究所
私たちは、「研究所」を名乗っていますが、統計調査を行ったり、研究成果を発表するといった活動に主軸を置いたプロジェクトではありません。
私たち世帯研究所は、世帯と共創する活動体です。そして、世帯に通じるユニークな有識者やパートナーの方々と、共創する活動体です。
ひとつひとつの世帯が異なる存在、異なる価値観、異なる課題をもつ存在であり、単一のしあわせモデルは崩れ、多様化が進んでいます。一人ひとりが自分なりの心地よさをしなやかに選択していく時代、言うなれば、“一億総くらし研究家”時代である今、共通の正解なんて、存在しません。
私たちは、正解を探す・定義する存在ではなく、さまざまな世帯、さまざまなステークホルダーと共に、いま起きているひとつひとつの“名もなき”問題とそこにあるインサイトを発見し、それを皆さんと共有しながら、世帯というコミュニティ、世帯によるコミュニティがよりよく運営されていくための知恵を考え、生み出し、シェアしていく活動体でありたいと思っています。
数字よりも“N1“のインサイトにこだわって、活動していきます。
“メディア発想“をもつ研究員と、ユニークなパートナー
世帯研究所の研究員は、広告会社・日宣の社員によって構成されています。ひとつの特徴は、自社で発行・運営するメディアのビジネスに長年携わってきたメンバーたちが中心になっていること。暮らしや健康といったテーマにフォーカスを当て、編集者としてディープな目線からメディアを運営してきたメンバーだからこそ、いまどきの「世帯」のインサイトを、敏感に、かつ共感性をもって発見し、同じ想いをもつ人たちをひとつのコミュニティとしてつなぎ、互いにシェア~共創していく、という経験値をもっています。
また、それぞれが、ユニークなメディアの運営を通じて、数多くのユニークな外部有識者とネットワークを形成しています。例えば、家事代行のプロとして、数多くの世帯に実際にお邪魔し、触れてきた方。例えば、防災のキスパートとして、さまざまな地域とつながり、世帯間連携のアイデアを生み出してきている方。例えば、家族の食品アレルギーに向き合い続けてきている料理研究家の方。そうした、ちょっとユニークな有識者とのネットワークをもっているのが、私たちの強みです。
また、広告会社として、日宣は、地域のケーブルテレビ局やホームセンター、さまざまな住・暮らし関連クライアントとのパートナーシップやつながりを保有しています。
そうした、さまざまな方々、ステークホルダーとの共創によって、新しいインサイトとアイデアを生み出していける研究所でありたい、と思います。