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広告会社が電力事業を立ち上げたわけ

◆新しいパートナー主義と社会的存在価値を目指して

日宣は、2021年春、地域新電力事業を立ち上げました。地域向けの新電力事業、すなわち、電気の小売事業です。

「広告会社が、電力事業!?」そう思われる方も多いかもしれません。
実はこの事業は、全国各地のケーブルテレビ局と共同でサービス展開していく事業として生まれました。日宣は、全国約150局のケーブルテレビ局とのユニークなネットワークを保有しています。各地域のケーブルテレビ加入世帯に毎月届く番組情報誌「チャンネルガイド」の発行サービスを中心に、約30年にわたって、さまざまな局向けソリューションやサービスを提供してきました。


ケーブルテレビ局は、それぞれのエリアの市町村に根ざした事業会社であり、各地域で数万規模の契約世帯があり、そのIDを保有しています。日宣は、ケーブルテレビ局の事業パートナーとして、その「世帯ID」を活用した新たなサービスの開発と提供に挑んでいます。その皮切りが、「地域新電力事業」です。
地域密着の事業会社であるケーブルテレビ局が、地域に対して、地域のための電気を提供していく。そんなサービスをゼロから立ち上げ、運営していくためのトータルサポートを、単なる請負会社の枠を超えて、資本の投入などリスクをシェアした形での協業も選択肢としながら提供しています。
栃木県を中心に事業展開するケーブルテレビ株式会社とは、「ホームタウンエナジー」という合弁会社を立ち上げ、既に、ケーブルテレビ加入世帯向けに、電気のサービス提供を開始しています。


通常、広告会社は、クライアント企業から受託した仕事を行っていく立場であり、BtoBビジネスの会社です。しかし日宣は、その立場だけに留まらず、クライアントのパートナーとしてクライアントと共に新市場を創っていく会社、へ、自らの領域やモデルを広げようとしています。
その理由は二つあります。

1つめは、私たちのクライアント自体が、時代環境・市場環境の激変のなかで、大きなマーケティング変革や市場開拓に挑もうとしており、そのなかで広告会社が果たすべき役割、広告会社に果たしてほしい役割も変わりつつあるからです。単なる受託会社としての広告会社の存在価値は薄れてきています。私たちが真にクライアントのパートナーであろうとしたとき、私たちはより深くクライアントの事業に踏み込み、ときに共にリスクを担いながら、新しい市場を生み出していく存在であることが求められます。

2つめの理由は、私たち自身が、よりこれからの社会や市場に求められる会社であろうとしたときに、自らの強みをもとにした価値創造=ビジネスモデルの拡張が求められる、ということです。日宣はもともと、広告会社でありながら自社メディア事業も運営しているユニークな会社です。そこには、媒体の代理店という立場ではなく、より自らが生活者と直接的につながり、そこから価値を生み出そうとする考え方・スタンスがあります。そうしたユニークネスを核に、私たちは今後、生活者コミュニティを始めとする幅広いステークホルダーと共創をし、新しいサービスや仕組みを生み出していこうとしています。それは同時に、BtoB、BtoBtoCだけでなく、BtoC、BtoGといったビジネスモデルへの拡張にチャレンジしていく、ということでもあります。

地域新電力事業は、そうした想いからスタートした、私たちの新事業です。
いま地域は、人口流出、経済縮小、高齢化、といったさまざまな課題に直面しています。地域を事業基盤とするケーブルテレビ局は、事業を持続し成長させていくために、新しい形でのサービス展開や、地域そのものの活性化や課題解決の仕組みづくりに取り組み始めています。ケーブルテレビ局と長年にわたってお仕事をさせていただいてきた日宣も、共に、チャレンジをしていきます。それが、大切なクライアントであるケーブルテレビ業界への私たちの新たな貢献、責任であり、また、その取り組みを通じて、地域世帯、ひいては地域全体の幸福や課題解決につながるサービスや仕組みを生み出していくことが、「コミュニティ発想」を掲げる広告会社としての新たな社会的存在価値でもある。私たちはそう考えています。

日宣の地域新電力事業はまだ始まったばかり。今後、「地域を幸福にできる電力サービス」をコンセプトに、さらなるサービスの進化や拡張に取り組んでいきます。